6世紀末から7世紀初頭にかけて作られた願成寺西墳之越古墳群ですが、現在111基の古墳が見つかっています。
願成寺古墳群美術展に参加するのは3度目ですが、願成寺古墳群美術展が今回で終了するということなので是非観に来ていただけたらと思います。国内外より20組のアーティストが参加しています。
この美術展は、前の年の秋から冬にかけて参加アーティストによる展示場所の争奪戦があります。早い者勝ちです。各アーティストは雪が積もる池田の古墳群を歩き、展示場所をどこにするか考えます。葉が全部落ちた木々に、草もなく、何もかも真っ白な中でプランを考え提出します。
前回の美術展で、僕は10号古墳の丘の上を希望しました。この丘に登ると、まるで下界を見下ろしているような感じがしてすごく気持ちが良かったからです。
冬の間に制作し、4月に作品を設置しに行くと、当たり前なのですが冬に見た景色と全く変わっています。木に葉が生い茂り、花が咲き草はボーボーです。さらに、約1ヶ月の展示期間中にも自然は変化していて、搬出の際には、高さのない作品だったこともあり、伸びきった草に覆われてしまいどこにあるか見失いそうになりました。それも面白かったです。
今回も同じく10号古墳に展示することになりました。
約1500年前から存在する「お墓を守る自然」は、今日までの1500年間、生々流転を続けています。
昨今、天災や新型コロナウイルスの流行であったり、ロシアのウクライナ侵攻のニュースなどから、生命の無常について考えることが増えているように思います。今回の作品は、何枚も何回も「生きろ」と書いた美濃和紙を裁断してパッチワークのように縫い合わせたものを金属のフレームに吊るしています。
悠久の歴史、生々流転の自然の中に足を運んでいただいた人に、ゆっくりと「今を生きている」ことについての尊さを感じていただけたら幸いです。風が吹くたびに美濃和紙が擦れ合い、「カサカサカサ」と音が出ます。
耳を澄ますと、「イキロイキロイキロ」と聞こえるかもしれません。
屋外に約1ヶ月和紙を展示することはチャレンジですが、和紙のもつ強さと、一方で儚さを感じてもらえると思います。
展示期間中、おそらく作品が風化していくと考えられることで、作品が変化する様子を鑑賞することができることも、今回の作品のポイントになっています。
【願成寺古墳群美術展】
会期:2022年4月23日(土)〜5月29日(日)
会場:願成寺西墳之越古墳群一帯
土川商店「場所かさじゅう」(池田町宮地930)
主催:美濃国池田山麓物語実行委員会
共催:草の根交流文化サロンinSEINO実行委員会
後援:池田町 池田町教育委員会 池田町商工会 JAいび川 文化プロデュースSEINO